時には飾らない詩のように/436
 
2年ほど前になるだろうか。
僕は落とし物をしてしまったのです。

それはとても大切なものだったので、ずいぶんと長い間、血眼で探しまわっていました。

でも、それは決してどこにも、その欠片さえ見つけることができませんでした。

そうして、いつしか、探すことにさえ疲れてしまって、忘れた方がいいと思うようになっていました。

でも、それは唐突に見つかったのです。

それは、思ったよりずっと近くに落ちていたのです。

それを届けてくれた人に、僕はとても深く感謝しました。

そうして思い出したのです。

それは、その人からもらったのだったということを。

僕は喜びにうち
[次のページ]
戻る   Point(1)