朧な太陽 〜空の色 ♯2〜/服部 剛
日常の景色に身を置いて
背を丸めながら頬杖をついている
さっき通り過ぎたあのレストランの窓に映るあなたの人影も
駅の広場の端で毛布を被り瞳を閉じて午睡するホームレスも
膝にノートを乗せてこの宛てのない手紙を書いている僕自身も
心の蓋(ふた)を開いてみれば似たような空の色が広がっている
舞い降りてきた一羽の烏(からす)の鳴き声が響くと
無数の鳩達は一斉に羽ばたき
やがてまた一羽、二羽とパン屑のもとへ舞い戻る
広場の上の空を見上げると
うっすらと世界を覆う
雲の向こうに朧(おぼろ)な太陽は隠れ
僕の身を包む灰色のコートに
ぽつり ぽつり と
雨の滴が落ちて来た
戻る 編 削 Point(8)