人形たちの夜/暗闇れもん
本当に欲しかったものはたったひとつで
それを得ても失う日が来ることを知っていた
与えられた人形を身代わりに
仕事に旅立っていった背を見送り
暗いやけに広い静かな夜の果てに
何か光があると思わなければ
人形に封印したはずのものが
するすると全身を覆い
息もつけないほどの
孤独に喰われてしまいそうだった
いつも一番近くは血の通わない人形で
流す涙を知っていたのも君さ
この世界は明るく綺麗なものだって証明してよ
そばにいて笑顔を見せて
それだけでいいから
増え続けていく人形達
それぞれに思いを込められて泣き続けている
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