詩人が詩を書くことを終えた日/海月
一人の詩人が詩を書くことを終えた
私にとって重要な日になるだろう
空を魚が泳ぐように
海に人が住むように
知りえない世界を詩と言うものにしていた
此処に私は住んでいる
だからこんな事を話せる
貴方は何時もそう言っていました
周りからは詩人と呼ばれ
貴方は密かにその事を嫌がっていた
特別に扱われているような気がする
当たり前を話しているだけ
悲しい顔をして言っていた
詩を書くことを終える日はあるのかと
私は貴方に聞いたことが在る
そんな日は私が死ぬ時と
真剣な顔つきで答えた
命が地へと帰るように
生が死へと変わるように
そんな日が来るのならその日が死ぬ時
貴方は今日がその時でない筈なのに
貴方は自らにして詩を書くことを終えた
貴方の死は詩人に色々な共感を与えた
私もその人になっていた
風の強い今日
一人の詩人が詩を書くことを終えた日
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