僕の世界で/あさみ
御覧、世界は暖かくて眩いのだ。
そう言って君が白い手を差し伸べた。
ひやりと気持ち良い 泥の中
暖かな光は 当てないでくれないか
泥が乾いてしまうだろ
ああ、マリア
なぜ こんなにも 寒いのでしょうか
御覧、世界は美しくて眩いのだ。
そう言って君が綺麗な手を差し伸べた。
少しだけ触れてみたくなって 手を伸ばした
君が僕の手を照らし出して 慌てて手を引っ込める
知らなかった こんなにも汚れていた
泥だらけの 傷だらけの 手を、見られてしまっただろうか
ああ!マリア…
泥が冷たいなどと知りたくはなかった 傷の痛みを知りたくはなかったのです!
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