批ギ 田代深子「猿精」/黒川排除 (oldsoup)
 
を受け取った。脳が。その一行を見つめている限り永遠に前に進めない気さえするそれはまるで錨、イカリのようだ。それは題名ではなかったのかという気さえしてきた。おそらく勘違いだが。その錨を切ってしまえば詩のリズムは、船というよりむしろ列車の如きはやさと心地よさで飛び出していく。なぜ言葉が一読して入ってこないかといえばその詩がガタタンガタタンガタタンゴーッゴーッゴーッゴーッガタンガタンという風に読めてしまったからと答えるしかない。乗車したにもかかわらず窓をカーテンを閉ざしていたようだった。弁当など買っている場合ではなかった。旅情を楽しむために窓を開かなければならない。詩情を楽しむために瞳孔を開かなければな
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