非線の鱗/あおば
非線の階段上がるとき
見えない飛行機
飛んできて
風の無い
暗い夜空を横切った
夏の朝
ビニール傘の花火師が
吊り天井にぶら下がり
雨乞いの真似をする
一天にわかにかき曇り
慈悲深い借金取りが
利子を負けてくれるとか
ひそひそ話をするように
音も立てずに雨が降る
干上がった河床の欲情が
水玉模様のレリーフが
桃色ペリカン誘い出す
驚いた非線形の潜水魚
てんでん・ばらばら
跳びはねて
底無しの
天の河に呑み込まれ
銀河の生簀に放たれる
熱帯夜
流星群に促され
こそこそと
暁闇に舟出する
朝になると日が昇る
一番鶏に急かされて
岡を目指して帆を揚げる
風を味方につけたくて
非線の鱗を脱ぎ捨てる
作2006/01/14
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