海 月/虹波
少女は海に住んでいた
透明な裸体が
海中に差し込む月光を吸い込んで
柔らかく発光していた
美しく丸いフォルムが海底を漂う
僕は見とれていた
少女は僕が落ちてくるのを待っていた
毎晩毎晩僕を見上げて待っていた
でも僕は応えられなかった
少女の眼に入り込んだ僕という光は
何億光年という宇宙の園から放たれていて
僕そのものとは違う姿形で
少女の心をときめかせているに過ぎない筈だった
でも僕は
少女のことが
たまらなく好きだった
だから
一層強く輝いてみせた
シリウスにも負けず
カシオペヤにも負けず
北斗七星にも負けず
でも朝が来れば
僕という星は影をな
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