優先席/海月
 
を大切に守ろうとしている
その中の一人に僕もいたのだろう

君が僕の目の前に来た
周りの目が僕に向いた気がした
その席を譲りなさい
僕はなぜかすぐには譲れなかった
その一瞬の間に僕の横の人がこう言った

どうぞすわってください

ありがとうございます

君は僕の横に座った
僕はさらに胸が痛んだ
僕は君に小言で正確には独り言で呟いた

ごめんなさい

今日僕は初めて優先席の存在に気づいた
明日君に出会えたのならこの席を譲ろう
だけど本当は座ってはいけないそんな気がした
僕が座らなければ他の人が座る
君のために僕が守り続けよう
この君のための優先席を
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