*ワールドアパート*/かおる
蔦の絡まる瀟酒な鉄骨のアパルトマンの朝は姦しい
おくにことばが行き交って
美味しいゆげが湧いてくる
毎日どこかのお部屋から
喜びのうたがあふれ出し
ある部屋のかた隅からは
哀しみのうたが滲みだす
自分本位でゴリ押すと
破裂おんが満ちてくる
誰かの為に涙して
誰かの為に喜んで
挨拶には満面の笑顔仮面と思いやり
隣の芝生のあおさを羨むよりも
きれいと嬉しがる気骨がほしい
みんなほんのちょっと飢えていて
そして、少しだけ満腹なおうちが
一つだけのテラという共同住宅に
ちんまり、きっちり収まっている
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