受話器/こめ
 
受話器の向こうで

君のすすり泣く声が

聞こえたよ

ぼくは何も声をかけられなかったよ

もう泣かないでくれ

ぼくまでもつられて

泣きそうだよ

大丈夫だよ

僕は君のことを

思っているよ

たとえどんなに離れても

この受話器から聞こえてくる

君の声だけで

ぼくは強くなれるよ

受話器からはもう

君の泣く声はなくなって

いつもの声になっていた

ぼくと君とは

赤い糸で結ばれている

そして

ぼくは君が楽しみにしている

くだらない日々の

くだらない話を

大げさに表現して

君を笑わせていた


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