トワイライト/まどろむ海月
冷たい光が壊れながら
憧れる者の手のひらに落ちるとき
夢見る心は いっそう痛々しく
冬の真昼の傷を負う
さびしさの傷 悔恨の傷
むなしさの傷 かなしみの傷
降りてやまぬ傷は 風に舞い
私の地平を埋めつくし
凍りついた痛みに
ふりそそぐ 優しい 時
雨にまぎれて去ってゆく 記憶
それでも 忘れられぬ姿は
いくつもの水滴の中に
たたずんでいる
すべては終ったはず
それなのに
したたる淡く細いみち
とりもどしようのない
過去は遠くただよい
手を伸べてはならぬ
若く美しい今は
自身を知らず
嘆きの薄闇に沈んでいる
雲の速さを砕き
きしむ翼を大きく広げ
すべての青を圧し
緑の鐘を遠く響かせ
あなたの春の朝は 始まる
今 空のせせらぎに揺れる
その暗さは黄昏の
ではなく 暁の
愛しい人よ
信じてほしい
夕日は
あなたの東にではなく
私の西に
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