曰く、人はもっと節度をもって死に接しなくてはならないと思うんだ/人間
 
宿る 
渇いた祈祷からは射精と排卵がなされる 
自己受精したやわらかい未来はかたい古えになって地面に張り付く 
谷崎精肉店でも牛のモツや鶏のモモ肉が飛び交い、 
上垣八百屋からは茶色帯びたキャベツやしなびた茄子が飛ぶ。 
道は古えでかたくなる、総じていっしょくた 
ともかく売れ残りは捨てられなければならない。 
車道ではカウントされない無数の事故がゴッタ煮のように沸騰している。 
高層ビル6階からは定年社員が落下し、 
キャバクラからは年増が放り出される。 
街は片付けられた死で賑わう 
やんや、やんや 
死なんてその日のうちに捨ててしまわければならない 
深夜、清掃員が大勢に繰り出し、 
黙々と、大量の死を、バキュームカーに押し込み続ける 
大量の死を知らん顔する人、8時間の黙祷 
 
 
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