星 霜/虹波
深く心を犯した意識
溶かしていくのにはどれ程の月日をかけたら良いのだろう
簡単には分解できない
割り切れやしない
心残りな出来事に魘されながら
それでも飄々としてまるで何事もなかったかのように生きる
誰にも悟られることはない
気付かれやしない
一体どれ程の人々が
同じように平然とした振りをして
苦しみを抱えながら
優しさを振りまいているのだろう
すれ違い行き違う人全てが
苦しそうに見える
表に出したら一瞬で朽ちてしまいそうな
ガラスの花を胸の奥で育てて
それを一生
大事そうに抱えながら
幾ばくの星霜を乗り越えて行く
太陽には決して晒してはならない思い
膨大な時間を割いて昇華していくだけ
胸の上に咲いた花が
新しい種を残していくまで
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