暖春/
若原光彦
蜂が蜜を集めている
花に頭をつっこんで
こんなちいさな生き物でも
死ぬことがあるなんて
レモンの香りが漂っている
あれを持っていたのはだいぶ前なのに
刺すように つんざくように
顔の中を満たしてくる
泣いている 激しく
どうして 飲んだ手紙を吐き出すために
駄目なんだ きっとぼくは散りかけなんだ
笑いそうになった散りかけなんだ
きっと海を殴ってしまったから
その罰を受けているんだ
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