ケチャップ/まほし
 
ぎゅっと 
ケチャップのチューブをしぼって 
出来たてのオムライスに 
真っ赤なうずまきを描いた 
かわりに涙が 
ほほを伝わないように
 
悪いのはお前じゃない 
と 言って 
君はこの部屋から出ていった
 
ふたりの生活は 
とっくの昔に 
賞味期限が 
切れたはずなのに 
煮えきらない言葉で 
終わってしまったかと思うと 
さっきから心が 
内出血したみたいに痛い 
それでも 生きていて 
それでも お腹も空いて 
キッチンに向かっても 
君が少年のような顔して 
大好き、と言った 
オムライスしか 作りたくなくて 
何が悪かったのか 
わからないまま 
今までよくがんばったねと 
満点をあげるような思いで 
うずまきを花丸にしたら 
ケチャップのすっぱさと 
涙のしょっぱさは 
似ていることに気づいて 
おかしくなるくらい、泣きたくなった 
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