通勤と帰宅/海月
若葉の隙間らか見えた
鉄の塊の集団
灰色の景色で空を覆う
少し息苦しくなった
この場所にもう空は見えない
磨り減った革靴
新しい靴に変える時間がない程
僕は多忙なのかな
少し汚れてしまった鞄
新品の頃とは大分変わったなぁ
理論武装で身を固める
嘘という服は
真実という銃で
本音を引き出す
正義感を振り回す
正しいことをしてるつもりでしかない
偽善者扱いに困り果てる
僕には出来ません
僕はもう限界です
そんなことを声に出しても
貰えるのは休み出なく仕事
それは「信頼されている」と言われても
そんな物を作り上げた覚えはない
「信頼されている」なら休みを下さい
僕はもう逃げ出すから
愚痴を吐息に混ぜて家路を辿る
二月の風はまだ少し冷たかった気がする
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