ある日の夢 〜鎌倉の寺へ〜/
服部 剛
集を郵便受けの木箱に入れる
昨夜綴(つづ)った手紙を表紙の上に置いて
そっと小さい扉を閉める
寺の裏から境内に戻ると
天気雨はいつの間に上がっていた
夕暮れの空にうっすらと現れた虹は
見渡す鎌倉の山々の上に橋を架けた
門をくぐると
石段の下から
はしゃぎ声を響かせる子供達が上って来る
幼き頃の私が
大人の私に気付かずに
風のように
通り過ぎて行った
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