幼年期の情景 〜アルバムの中に〜/服部 剛
カレンダーを一枚めくり
二月の出かける日に ○ をつける
数秒瞳を閉じる間に過ぎてしまう
早足な一月(ひとつき)の流れ
数日前話した八十過ぎの老婆の言葉
「 あんた三十歳?
私の歳まで あっ という間だよ 」
机の上に置かれた古いアルバムを開くと
二十五年前の幼稚園の庭
午後の陽射しの下で
青い帽子をかぶった小さい僕は
友達と手をつないで走っている
はしゃぎ声が聞こえてくる
椅子に座り日向(ひなた)ぼっこする保母さん
嬉しそうに僕等を見守っている
( 瞳を閉じて
( 大人になった僕は無人の懐かしい庭に立つと
( 幼い頃に走
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