世界/あおば
今、私が見ている世界は
本物の世界なのだろうか
この離心症的な感覚のうちに
春を迎えた
産土神の境内で幼児が駆けまわる
ミズスマシの様にくるくる回り
分子が突進して炸裂する
子供と死者が協定を結び
餓鬼の世界を構成した
大人は小さくなって身を縮め
大きな車が我が物顔に
通過するを待っている
生きているものと死んでいるものが
覇権を賭けて
時間制限の勢力争いを繰り広げる
拍手を打ち拝む男の姿
敬虔に鐘を鳴らし神と語らう
黙って賽銭を投げて
義務を済ませたつもりの私は
ひたすら
小松菜を細かく刻み
鶏の餌のような
雑煮を作り、独り食す
作2000/01/06
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