ビー玉の停止/A道化
 



染み込み切らず
床に溜まる夕刻、それは束の間
窓枠が区切って下さった一人分の西日は
結局は目の前で
床へ、床へ、沈んでいった


星といえばビー玉の中に
赤く青く黄色く、在り
翳りの中でたとえ光らなくとも
わたしの目蓋が瞬くことで、事足りた
ひとり、弱く、遠くへ行かぬよう指で弾く
その最小限の遊び方で
正しく立て付けられた部屋でビー玉は
思うように停止して
きらきら


ええ、わたし、そのようにして
陰りの中、ちょっと泣いてみるだけで
きらきらする物ならば、幾らでも挙げられた
そのようにして、きらきらする物ならば幾らでも
ああ、幾らでも挙げられたよ



2006.1.25.
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