真理のゆめ/たちばなまこと
 
北国生まれにとって 凍えない秋は不思議
河の彼方 海を思う日常に 溶け込めたような午後


真理
真夏に連れてった海のこと覚えてる?
君とならあのジャンボ機にも
漕いでって 飛んでって 乗れるような気がした
真理
今日は河を渡るんだよ
短くなった太陽の時間に
突っ込んでゆくんだ


サドルのドットが一個とれちゃったけれど
気にならないよね
真理はどっか欠けてても 真理だから
夏に買ったカバーなのに 早くも風化して 穴だらけだけれど
まだいいよね
真理はまだちっちゃいから 雨に濡れても元気


大きな工場の脇 線路の高架下をくぐると
空き地のフェンスには
[次のページ]
戻る   Point(3)