真理のゆめ/たちばなまこと
北国生まれにとって 凍えない秋は不思議
河の彼方 海を思う日常に 溶け込めたような午後
真理
真夏に連れてった海のこと覚えてる?
君とならあのジャンボ機にも
漕いでって 飛んでって 乗れるような気がした
真理
今日は河を渡るんだよ
短くなった太陽の時間に
突っ込んでゆくんだ
サドルのドットが一個とれちゃったけれど
気にならないよね
真理はどっか欠けてても 真理だから
夏に買ったカバーなのに 早くも風化して 穴だらけだけれど
まだいいよね
真理はまだちっちゃいから 雨に濡れても元気
大きな工場の脇 線路の高架下をくぐると
空き地のフェンスには
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