【批評ギルド】 『シャボン玉』 松本卓也/Monk
 
てることと
作者が知ってることがイコールでは物足りない。
作者の解がほしい。この話をこの先どうするのか、この男をどうす
るのかは作者が自由に出来るのだ。どうもしないという選択だって
自由だが、その選択はエンターテイメントとしては苦渋の選択では
ないか。ここだけは自分も書き手の立場で物を言うが、どうもしな
い選択をする作品が多いので(経験上そう思う)、僕は物足りないと
言い続ける。

突風が吹いてシャボン玉が一斉に破裂してもいいし、子供が黒づく
めの男に目の前でさらわれてしまうのでもいい。僕はこの男はもう
ダメな奴だと思ってるので、叱咤するような、懲らしめるような外
的要素がほしいと思う。だって自分じゃもう何もしなさそうだろ、
こいつ。そんな展開じゃなくてもいいが、このシャボン玉アワーと
いう風景を固定させて「ゆらり」という説明でまとめられると、あ
あ知っていたなこの作品は、と思うのだ。

風景を観賞するだけならば僕は僕でお外に出る。



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