冬のある場所のある人の独り言のメルヘン/こめ
暗い夜道をひとりぼっちで歩いていたよ
信号も黄色のまま点滅してて
だれもいない
なんだか世界で僕だけが
生きているみたいだな
ぼくはただこの世の
本当のすがたが見たくて
ずっと歩いてみた
いま何歩目かな?
もしかしたら最初の一歩かもしれないな
今何時かなって思って時計を見たら
壊れててちょうど0時で止まっている
縁起が悪いなとかいって
壊れた時計をハズし
月に向かって投げた
どこまで行ったかな?
ウサギに合ったかな?
そんなメルヘンなことを考えて
笑っていた
鼻の先に冷い物が当たった
雪が降り出した
その一つを手に取ってみた
雪は僕の体温を感じ取って
溶けてただの水になっちゃった
ぼくはそれを口にした
なんかとても甘い味がした
そしてまたぼくは誰もまだ
踏んでない雪のシルクロードを
歩みだした
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