故郷を離るゝ歌/遊羽
 
少年達は夢を追い 少女達は現実を煙たがり
大人達は遠い目を嫌い 
老人達は空に詰まった糸口を辿り
それぞれに追い求めてゆく

人であるが故の道は
常に交差を繰り返し
人は液体のようにそれぞれの方向へと流れてゆく

少年達は故郷を離れ 己の現実と夢の差に愕然とし
少女達は逃げ疲れ その目の輝きを曇らせる
大人達は揺るぎなき大樹を血眼になって探し
老人達はかつて去った故郷を今日も懐かしむ

人であるが故の道は
常にその姿を変えながら
人の目の高さで今日も交差する

初稿:2002年


戻る   Point(1)