刻まれてゆくデ・ジャブー/純太
彼らはその肉の産地が
わかっているようだったが
わかっていたんだなと
気付くまでに
俺は缶ビール一本を飲み干していた
俺の脳は密林育ち
どんな鳥もつまり
羽のあるデ・ジャブーにしか見えない
人は悲しみを背負うその腹が
決まった時に背負った花瓶の中を
たまに覗きながら生きてゆく
物質なき存在の真実ゆえ
僕達は本棚に並ぶ本と
その題名を知っている
しかし黄身を知らない
マンションの玄関のドアは
一斉に今日も定刻通り
開いたようだと思ったら
閉じていた
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