レントゲンの粉飾/A道化
 




朝、その一方で
コンクリートの階段を
冷たくなって滑り落ちる風
一段ずつ、無抵抗に落ちてゆく影


正しく、針が切る時を
間に合い続ける列車が貫通してゆく
プラットホームには
金属的な人の風味が充満してゆく


苦いというだけでは、もう泣けない
苦いというだけでは、もう泣けないのだよ
静かに中毒に慣れてゆくことを生活と称し
自嘲するしか、
自嘲するしか、


ああ、あなた
ほんとうは
レントゲン写真にしか写らないものを含めて冬ですが
あなたには見えない白い影に慣れながらわたしはまだ
笑って、元気です、と


2006.1.8.
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