翼を広げた白鳥/
服部 剛
烏(からす)と鳩(はと)は向き合い
静止したまま じっと 睨(にら)み合っていた
空から舞い降りた一羽の白鳥
両者の間に立ち嘴(くちばし)を天に向け
広げた翼はそれぞれの腹にふれる
( うすい光を帯びた風が吹きぬける )
張り詰めていた空気は解(ほぐ)れ
向き合う烏と鳩が互いの頭(こうべ)を垂(た)れる
翼を広げた白鳥の姿は消えていた
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