「結婚」についての考察/服部 剛
一
昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた
「 おいしいかい?
結婚してみて、どうよ・・・? 」
と買ってきたコンビニ弁当の入ったビニール袋をぶらさげた
「 独身貴族 」の僕は問う
「 いやぁ〜・・・
一人ですいすい走ってたけど、
今では互いの足首にしっかりと赤い紐(ひも)を結ばれて
最近はちょっと足の重たい二人三脚ですねぇ・・・」
休憩室のたった一つの窓から午後の日は射して
畳(たたみ)に伸びるM君の影は
うつむきながら箸(はし)でおかずを口に運んでいた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)