チョーカー/遊羽
 
のになっていた
冷やゝかで透明な夏の瞬間
落ちてゆく打ち上げ花火を追うような
視線は逸らすことさえ許されず
女の背中を直視する
その先に見えるなだらかな曲線は
想像もし難き十数年を背負っていた
違う何かをたくさん背負って
途切れた画像は
全く違うシーンへと飛ばされ
普通すぎる日常の偶然の接点に
自分の背中が負うべきだった
何かに欠けている事を知る

女の背中は
深い記憶への扉となり

[次のページ]
戻る   Point(1)