チョーカー/遊羽
 

『チョーカー』

夕暮れの曲がった光の下に
懐かしい人を見かける
違う髪 違う服
違う姿に香り立つ
記憶の仄かな糸がよじれて
やっと点灯した夏の夕暮れ
懐かしい人
今 じっと固唾を呑んで
後ろ姿を見つめている
どうか振り向かないでくれと
胸の中 黒い花が咲く

十数年の隔たりは
漸く昔日の事なりと
語りかける後ろ姿
その影形さえも
違うものに
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