Youmen/アルビノ
ユーメーンの描いた絵の背景が
なぜオレンヂなのか
いつも考えた
答えは出ない
なんとなくビワが食べたくなる以外は
なにも浮かばない
日によっては干し柿、
それくらいだ
あたしなら街を描くわ、と
顔見知りのスプーン屋が言う
「あたしが歩いた街を描く
緑色の革の靴音を
鳴らした数だけあかりを灯す」
ロマンチストでしょうと
銀の曲線で笑う
映るすべては逆さまだ
*
ユーメーンに逢うことはもうなくて
出逢えたことは偶然だったんだ
彼が肖像画を描けない代わりにくれた絵は
今もぼくに疑問を投げかけている
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