クスクス/松本 涼
 

高い高いビルとビルの間に真冬でも
青々とした葉っぱをいっぱいにつけた大きな木があって

その木の葉っぱたちは風が吹く度に
小さく身を寄せ合ってクスクスと笑った


僕はその木の前にある鉄のベンチに腰掛けて
午後の仕事の段取りについて考えていたのだけれど

葉っぱたちのクスクスが気になって
そのうち考えるのをやめてしまった




     ボクは昨日どくだみの生霊にとり付かれる夢をみたよ  
     ひゃあー(サワサワー  

     そんなのまだいいじゃん
     オレなんてあそこの牛丼屋の眼鏡の兄ちゃんに
     むしり取られる夢だったよ
[次のページ]
戻る   Point(12)