ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
 
グロテスクの美を御覧なさい
我等はただ愛する心を味へばいい
あらゆる紛糾を破つて
自然と自由とに生きねばならない
風のふくやうに、雲の飛ぶやうに
必然の理法と、内心の要求と、叡智の暗示とに嘘がなければいい
自然は賢明である
自然は細心である
半端物のやうな彼等のために心を悩ますのはお止しなさい
さあ、又銀座で質素な飯でも喰ひませう

なによりもすごいのは「グロテスクの美」です。社会を馬鹿にしきっています。世間は半端モノであり、我々は清く貧しいのです。それにしては最後の一行で「銀座」なのが気になるのですが。。昔の銀座は安い店もあったのかしら。僕は恋人と銀座に行ったとき、金がないので喰った「銀座で質素な飯」は、マグロ市場のマグロ丼500円弱だった覚えがあります。しかし二度と行きませんでした。今の銀座って、そういう街じゃないんです。


つづく(予定) 

2005/10/21,22 2006/01/08改稿
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