明け方の碧/服部 剛
 
真夜中の浜辺に独り立つ
君の傍(かたわ)らに透明な姿で佇(たたず)む 詩 は
耳を澄ましている

繰り返される波の上から歩いて来る
夜明けの足音

君の胸から拭(ぬぐ)えぬ悲しみは
夜空に瞬(またた)いている あの 小さい星

やがて
波音が繰り返されると
星達は白みゆく空に消え
水平線からゆらめき昇る朝陽(あさひ)が
緩(ゆる)やかに世界の色を照らす頃

君の隣に佇む 詩 は
頬を撫でる風となり
体内を廻り

魂の燭台(しょくだい)に仄(ほの)かな碧(あお)い火を灯す




    * 自家版詩集「明け方の碧(あお)」(01年)より  




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