みどりのコートを着たコドモ/mina
「月が明るい夜は
外に出てはいけない
みどりのコートを着たコドモが
生まれる時間だから」
そう聞かされていた
街のはずれの丘は
建設工事が中止になって
土を掘り返したままになっている
コンクリートの壁だけいちまい東側にどっしりと
建ったまま
日中でも陽があたらない
ぼくは ひとりになろうと
おかあさんも おとうさんも
熱をだして
布団の中でうんうんうなっているから
ひとりになりたくて
側にいたら邪魔だから
ほんとうは
めをつぶってると いつもはやさしい目尻の皺も
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