いつか歩いた/馬場 こういち
 

いつか歩いた並木道
ちいさな歩道橋
あのとき
夕暮れ色に染まる
傾斜をみて
黒いコートに
溢れる
さみしい色は
木立の陰
カーブの辺りに
おちていた
黄色い葉
どこか
忘れてしまった
あの場所に
ぼんやりとした
記憶の
あの風景に
過ぎ去ってゆく
青に
ときどき
帰りたくなって
胸の底を
流れて
うすらいで
いつか歩いた
思い出に融けてゆく


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