明け方/八月のさかな
 
まっしろな空をみつめていたら
わたしを見知らぬ世界へすいこむ
入り口がみつかる気がした


髪飾り 首飾り 耳飾り
指輪にマニキュア ブレスレット
アンクレットにトウリング
長い茶髪をくるくる巻いて
きらきらのついたヒールを履いて
ブランドバッグを肩から掛けて


わたしはどこへゆくんだろう


明け方の黒いタクシー
シートに沈む 踊り疲れたからだ
喧騒のあとの静寂はいつもむなしい
知った顔 知らぬ顔 
音楽と アルコールと 耳のいたくなる熱気を浴びて
それぞれの思惑のひしめく欲望の渦を出て

「どこまで?」の声に我にかえる


わたしはどこへゆくんだろう


まっしろな空をみつめていたら
わたしを見知らぬ世界へすいこむ
入り口がみつかる気がした


泣きながら、透明を見上げながら

明け方の まだ熱もない薄闇の
空に消えたいとおもった



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