文集 リキュール/
 




半月が其処で落ちてしまったら
それは君が足りない所為でしょう
安寧は直ぐ死んでしまうだなんて
君より分かっていたつもりなのですが
黙ってればいいんだよ
君は ただそこに


開かれた暗幕は燃え
真っ黒な炎がゆらめく
顎を動かして
呼吸を噛み締め
軋む歯茎の音が綺麗で
今にも
泣きそうになる


爪と皮膚の繋がるところが
裂けたらまるで果肉のようだ
水分を保ちながら
まだ居座り続けるつもりだから
ひからびるまで
当然ワタシのことなんかじゃないけど


轟音に沿って歩けばいい どうせ
高尚な思いほど裏切りも早いと知ってた?
最初からならまだ
やり直せるかも知れない
そんなわけ無いって、知っているけど

誰かがそうやって言っていた





戻る   Point(0)