ファム・ファタール/りっと(里都 潤弥)
 
ファム・ファタール君の額に手をかざし瞳に揺らぐ鱗光らす

タンゴタンゴ、月が見てるね私たち ペットボトルが生きているよう

横文字で君を想えばファム・ファタール鳩が重たくなる夜が来る

きれいごと鶏に託すの ほっそりとした足首に金の輪つけて

運命はコンビニエンスの文字に似てタダで雑誌を読む人の群れ

黒々とした人様の神社前 携帯電話に躊躇している

泥道を走る自転車のタイヤにからまる猫よファム・ファタールよ

靴底にガム貼り付けてうずうずと消えたい気持ち押さえつけてる

硫酸と塩酸混じり外気温がとろけるように冷え込んでいく

塩水で冷えた貴方の手を待って私の右の瞼が湿る 
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