つながる川/cyuma
 
初めて臨んだ源流
左右に向かい流れてゆく
名前の違う二つの川は
湧き出るこの一点で
あまりに強くつながっていた

ひらり川に視線を乗せ
ゆらゆら午後の流れを進みゆく
途中川面に
雲に従って変わる
太陽の光とぬくもりを感じ
季節によって変わる
葉と花びらの感触を愛でながら
時折聞こえてくるのは
下校途中の子供の声
そして
野菜を洗う音
次第にそれも遠ざかり
川のある風景を目前に
今という言葉も
昔という観念も
すべては静かに消え失せる
ただ ただ ただ 
ただ 漂う
存在としての川
川としての存在


その中で
今度聞こえてきたものは
川岸の人が皆々発する
川への賛辞
「ふるさと」
という言葉

源流は夢の記憶のはじまり
源流からはじまるふるさと

川岸に人が栄え
川が生きて
また人が生きる

すべてはあの源流で結びつき
「ふるさとの川」という名の川が
どこまでも 
つながっていく
どこまでも
広がっていく

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