渋谷レッド・ノゥズ・レインダー/蒸発王
った
最初は自分も
ここで待つことを恨んだが
弾丸にされて気持ちが変わった
自分はもう二度と弾丸になってはいけない
自分はずっとここに居て
待つべきなのだ
待ち続けたいのだ
と
呟くように喋る犬の
垂れた片耳を眺めていると
私の主人が帰ってきた
主人は私の角を撫でると
肩に担いだ白い袋を
後のソリに乗せた
重いところを見ると
今年は『良い子』がいなかったのだろう
犬のことを主人に言うと
主人は
犬の頭の雪をはらい
自分のかぶっていた
赤い帽子を犬にかぶせた
わからない顔をしている犬に
飛び立つ寸前
私は真っ赤な鼻をさらに赤くして言った
メリークリスマス!
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