夏の木漏れ日/
奥津 強
夏の 木漏れ日
日差しの中 塔婆 には
片目の 少女が
曲がりくねっている
モノクロ
ぐにゃりふなりと
渦を まき 泥が 撒かれ
そこから
首が 咲く 木漏れ日のような
花弁と 傲慢な 唇
ふと 見上げれば
海が 暗くなっている
ああ
あああ
小人が ふってくるのだな
夏の 木漏れ日
歪む国の 世界は
東京都の 電話帳で 出来ている
美しくない
美しくはない
だが
夏の 木漏れ日は
冬に なり
春は 少女の モノクロの世界へと
戻る
編
削
Point
(7)