少年少女の閉塞/A道化
秋になっても
ずっと忘れそびれていた少年を
冬へ、冬へと
ぽろぽろ棄てるころ
秋だったのに
冬へ、冬へと
粗樫の木から少年の証拠が
呆気なく消えるころ
わたしから
少女の証拠が消え
わたしの肌の眼球辺り、真っ白な表情を
隠しうずめるなら黒一色の衣服が一番だ、と
わたしは丁寧に納得してゆこうと思います、そうすればもう
粗樫の木の根元の大地を選んで涙を注ぐことは出来ず
真っ暗な衣服の中で種子に戻ったように
ああ、眼球は、ますます
しん、
として
冬へ冬へと
閉塞することを喜びましょう
2005.12.18.
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