恋文/蒸発王
現実なのだと知りました
そう
貴方の顔が死神とうりふたつだったのです
最初は貴方が嫌いでした
あの夢を現実だと認めるようで
貴方を避け
貴方を殺そうとも思いました
それなのに
どうしようもなく貴方に惹かれていったのです
最期の一年は矢の様に流れました
貴方と見た川沿いの桜
夏に2人だけでした小さな花火
夜の海で探した流星群
病室に持ってきた紅葉
貴方の気持ちには気付いていました
だからこそ
私の気持ちは絶対に言わないことに決めていました
貴方を傷つけるからです
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