尊き命/炭本 樹宏
 
 凍えるのような冬は
 ことさら人の温もりが
 恋しくなる
 世間の冷たい風
 懸命に命のバケツリレーを
 する毎日
  
 弱音は吐かないようにしている
 生ぬるくいきる生活のなかで
 宝石の輝きのような時間を
 追い求めてる

 タンカに運ばれて
 病院にはこばれた思い出
 精神に病をもってることを
 話したら
 医師と看護師は
 顔色を変えた

 家族にも見放され
 誰も迎えに来てくれなかった
 寒い明け方
 生きることをあきらめそうになった
 人は人としていきるプライドを
 捨てることができない

 争いごとは
 身の回りで
 頻繁に
[次のページ]
戻る   Point(1)