ペイター「ルネサンス」 (4)/藤原 実
 


「模倣と類似を基準とする「模倣的」芸術から、「形式の感覚」をそなえた「装飾的芸術」へ------ワイルドの要約した現代芸術の動向は、ペイターがモダニズム芸術の印象主義的な傾向を予告するのと同様に、そのフォーマリズム的な傾向をいちはやく予告している。結局のところ、ペイターの印象主義とワイルドのフォーマリズムのふたつの立場はともに、モダニズムのなかに見いだしうる反リアリズムのふたつの流れを典型的に示しているとは言えないだろうか」
                      (「モダニズムの詩学」丹治愛(みすず書房) )



というような先覚者としての栄光もペイターのものであることを忘れたくはない。





(注:『ルネサンス』からの引用は富士房百科文庫版(別宮貞徳訳)による)


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