ペイター「ルネサンス」 (4)/藤原 実
たり一致している」、「ほんとうは「うた」だから」、「一つ、一つの、ことばを聞いているのではありません。そこに響くものを聞いている」------これらはほとんどペイターが『ルネサンス』で言っていることと同じだが、高橋さんは、ペイターについてはどこにも触れていない。でも、きっと読んでいるだろう。それはこの『小説教室』という本のなかで、かれが一時期、吉田健一に心酔していた、と書いてあることからも察せられる。吉田健一はペイターの訳者でもあるから。
その吉田健一の『英国の近代文学』を読むと、吉田はヒューム、エリオット、リチャーズをさほど評価しない(エリオットの有名な個性の没却論などに対しては「[エ
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