惑星/ミゼット
 
コンクリートうちっぱなしの部屋で
魚と空を見る

(完成することなく終わったものは、廃墟というのでしょうか)

(生まれることなく死んだのは、あれは、)

トレーの中で魚が跳ねて、
吐く息は白くなる

空が妙に青いので、飛んで落ちたって届かないのだ


魚が底の浅いトレーの中で水をはねる

コンクリートは水を吸って、しみを作る

尾がトレーの端に見える

赤くない、それ。



そして、魚が落ちた



魚がしみの上でのたうつ

足元で気配がする

寒さがそこから上ってくる

物言わぬたましいが、わたしの足元で今、のたうつ

(恐れていました)

(ただ、呼吸をするばかりの)



その日は、息絶えるまで空ばかり見ていた。
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