ハンバーグ待ち(仮)/服部 剛
ハンバーグの上に乗った大根おろしは雪崩(なだれ)を起こし
こぼれた鉄板の肉汁に滲(し)みていた・・・
胸の内の小悪魔くんは
( なにやってんじゃい・・・! )
と眉間にしわを寄せ
しぶしぶと割り箸を割って
ハンバーグのかけらをつまんで口に入れた
やがて
胸の内に舞い降りてきた天使さんに
( あなたの日頃のお仕事に手落ちはまったくないですか・・・? )
と優しくたしなめなめられ
思い出す自分の情けない姿
目を当てたくなり
文句が出そうな口に見えないふたを塞がれて
黙ってもぐもぐ手捏ねハンバーグを味わった
ハンバーグ・ご飯・味噌汁をたいらげて
跡形ない鉄板の上に空(から)の茶碗とお椀を乗せる
ふくらんだ腹の重みにのけぞって
見上げた時計は12時30分
胃袋に入れば みんな おんなじ
( ごちそうさま )
小悪魔くんも天使さんも消えた胸の内で呟(つぶや)いた
* 平成十七年・十二月十一日(日)
渋谷のファミリーレストランで昼食の後に
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